こんにちは。TACスタッフの遠藤です。
楽器の演奏を通じてアレクサンダー・テクニークに出会う人は多いかと思います。
今日のプレゼンは「ピアノの練習をサイコフィジカルな視点から考える」でした。
私達が耳にする「ピアノの音」は「音から広がった『響き』」です。
もちろん鍵盤を指で押せば音は出るのですが、よりサイコフィジカルに音と関われているときには「全身でピアノと関わっている(弾く)」状態と「響き(波動)を全身で受け取っている(聴く)」状態のバランスがとれています。
このバランスの中にいると、音と自分の中にあるイメージとのすり合わせが起こり、その人ならではの音の出し方や表現となります。
しかしながら、(当然ですが)現実は一筋縄ではいきません。
譜読みをし、テクニックを身につけることには相当な時間と労力がかかります。
だからといって、早くマスターしようとテクニカルな練習に特化することは、(アレクサンダーが警鐘を鳴らしたように)end-gainingになりかねません。
何かを練習し習得する中で、人は段階的な経験を積むと言われています。ピアノについても同じです。一生懸命練習しても中々弾けるようにならない経験、一通り弾けるようになってさらに深く追究する経験、演奏を通じて聴衆との関係を模索する経験、(いわゆる「ゾーンに入る」ような)演奏すること自体と一体となる境地を見出す経験…これらの経験を行きつ戻りつすることで、表現の幅が広がるのです。
そのプロセスを辿るには途方もない時間がかかりますが、どの段階にあってもそれは自分自身を使ってピアノと音の響きに関わり続ける、それ自体が意味のある経験だと思います。
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追記:(棚橋)このプレゼンの後、皆んなで話し合ったのは、上記の「学習進化の5段階モデル」において私達がATで目指すのは、実はここには書かれていない「第六段階」なのではないか?と言う事でした。
私たち楽器をやる人も、練習の過程を言語化するのは、時に大事だと思いました。
「学習進化 第6段階」を経た演奏、どんな世界が見えるのでしょうね。☺️