こんにちは!
TACスタッフの熊谷です。
TAC (東京アレクサンダーセンター) では、スタッフ同士持ち回りで「プレゼンテーション」(学びの発表)を行なっております。
11/20(月)のプレゼンは、私、熊谷が担当いたしました。
タイトルはこちら。
「背中であそぼう!」
です。
アレクサンダーテクニーク(AT)では、「背中」というものをとても大切にしています。
レッスンでもよく
「背中に居てみよう」「背中と共に居てみよう」= Stay Back
といった表現を使います。
※ATを学ぶ人たちの間では、脊椎を中心とした胴体全体の事を「背中」と呼ぶことが多いです。
今回のブログでは、立体としての胴体における、背中側という位置づけで書かせて頂こうと思います。
さて、私たち人間は「前側」に意識が向きやすく造られています。
目も鼻も口も前側についているし、
腕や手も、前で物を抱えたり作業したりしやすいように出来ている。
何より「前に向かって」歩けるように関節も出来ています。
さらに、様々な道具の進化、環境の変化によって
「意識が前に集中すること」がどんどん加速しているのが現代の私たちだと思います。
しかし、私たちは「前側」だけで生きているペランとした存在ではありません。
後ろも横も、上も下もあるぐるっと360°の空間の中で、360°立体の生き物としてここに存在しています。
前側にガガーーーっと意識が過度に集中しているその時に、
自分の背中、そして背中の後ろの空間への意識も含めて行くこと。
「注意の奥行き」が生まれること。
このことを私たちはとても大切にしているのです。
じゃあ実際に「背中に意識が向けられるようになると、一体どんなことが起きるのかしら?」
と思いますよね?
今回は、その実験です!!
今このブログをご覧になっているあなたも、人が2人いれば出来ますので
もしよろしければ誰か相手を捕まえて一緒にやってみて下さいね(^O^)
それではスタート!!
まず、全員 背の順に並んでもらいま~す。
だーれが生徒か、先生か~♪ 分からないのがTACのいいところ(笑)
ここで、お題を発表しました。
ジャジャン!
本日はわたくし熊谷の声掛けによって、みなさまに動いていただきます!
①まず2人ずつペアになって、相方と向かい合ってごあいさつをします。
(この時は、前側に意識が向いている)
↓
②自分の背中と、背中の後ろの空間を意識しつつ、
ペアの人と背中合わせになります。
背比べじゃないよ~。なんとなく照れ笑いしてるみなさん。
「背中で、自分と相手を感じてみてねー」
「腰の位置で合うように調節してみるといいかも」
などと、声を掛けて行きます。
みなさん、後ろ側への意識が広がって行っていますね。
③ここから、背中合わせになったペアに少しずつ動いてもらいます。
・どちらからともなく、ゆ~~~っくり揺れてみたり。
・ヒザを曲げたり伸ばしたりしてみる・・必要なら声を掛け合いながら。
・「背中」で相手の動きをキャッチしながら。
一旦ペアを解消してもらいます。
ここで、今日の裏テーマを発表!
ジャジャン。
裏テーマ「自分を観察する。」です!
(さりげなくランジしているわたくしにご注目下さい。)
動きなどの「刺激」があった時に、
自分の身体や心はどんな反応をしているだろうか?
本日は、やや「身体の反応」多めに観察してもらうことにしました。
④それでは、ペアを替えて初めから。向かい合ってごあいさつ。
↓
⑤ペアの人と背中合わせになって、動いて行きます。
・ゆーーーっくり揺れてみたり。
・ヒザを曲げたり伸ばしたり。
→ 今度は、お互いの声掛けアリ、声掛けナシで、ヒザの曲げ伸ばしにチャレンジ。
↓
⑥ペアでリーダーを決めます。
お互いの声掛けなしで、リーダーが動き、相方はそこについて行きます。
・色々な揺れ方をしてみたり。
・歩いてみたり、目標物を決めてそこまで一緒に歩いてみたり。
リーダーを交代して、同じことをやってみます。
⑦さらに、他のペアとも一緒に活動し始めます。
今回はAとBの2ペアになりました。(つまり4人)
↓
⑧熊谷が「ボール」をAペアのリーダーに手渡します。(これによって前側への意識が大きく加わります)
ボールが、ペアからペアへ手渡されて行きます。
・Aペアのリーダーから、Bペアのリーダーへ。
・BペアからAペアへ。
・リーダーを交代して・・
・はいはい、だんだん渡す速度を速くしてぇ~・・・
(笑い声が上がったりしてみんな楽しそう!)
⑨最後は全員で背中をつけ合って1個の輪を作ります。
ちょうど「おしくらまんじゅう」の形ですね。
・全員が「ひとつの生き物」のようにつながる意識を持ちます。
・1人がリーダーになって動き、全員がそこについて行きます。
息切れがしてきた辺りで、終~了~~(笑)
ごめんなさい、最後の方は全員で遊んでいたので、写真が撮れませんでしたー(笑)
さてここから振り返りです。
テーマは「自分を観察する」でしたね。
どんな自分を発見できたかな?
私がお聞きしたかったのは主に次の3点でした。
・自分の反応・・どんな時、どんな反応をしていたかな?
・自分の反応を思い出してみた時、その自分を「どこから」見ていたかな?
・自分を観察する時に、背中への意識は役立ちそうかな?
うれしいことに、学生さんからも先生方からも
たくさんフィードバックがありました。
まず、学生さんそれぞれの「自分の反応」について。
・「何が狙いなのかなぁ?」「完成図はどんな感じなのかなぁ?」などと推理しつつ、今のベストな動き方を頭の中で組み立てながら取り組んでいた。
・相方さんについて「きっと上手に自分に合わせてくれるだろう」と予想して動きを投げかけながら、楽しんで取り組んでいた。
・みんなのフィードバックを聴きながら「自分はそういえばこういう傾向があるなぁ」と確認していた。
先生方からは
・ペアになって動くと時間差(ラップ)が出来る。
それによって、空間への意識が伝播、広がって行くのが面白い。
・背中合わせで「一緒に動く」と、相手の動きがシェアしやすい。
(特に一緒にしゃがんだり立ったりする動き)
レッスンで生徒さんとやってみてもいいかも。
また、⑨の「おしくらまんじゅう」の態勢から、
「コミュニティのつながり、まとまり」という意味においての感想もありました。
以前小学校の先生だった方によると、
クラスの一学期で一旦「きずなが深まった?」ようになった後に、
二学期でまとまりが崩壊することがあるそうです(笑)
しかし、実はそこからが大事なプロセスで、
今まで表面に出てきていなかった生徒さんたちの「本当の気持ち」などが現れてきたりするそうです。
まとまり、つながり、一体感が出来たからこその、プロセスということなのでしょうね。
すごく興味深かったです。
また「背中合わせ」になることによって安心感が生まれた。
というフィードバックもありました。
これは、きっとATに限らずですね。
かつて東日本大震災があった際に「自宅や避難所でも出来るケア」として
「誰かと背中をくっつけてもたれ合いながら、ただ床に座っているだけでOK」というワークを、私もある方から教えて頂きました。
そうしているだけで、身体が温かくなった記憶があります。
「背中側への意識」が持つ、可能性のひとつですね。
そして、今回の私の大きな収穫は
「自分の傾向を話す時のみなさんのプレゼンスが、全体的に軽くなっている!」
ということでした。
自分はこういう傾向がある
こういうパターンを持っている
こういうクセ(習慣)がある
という話をする時、私たち人間は
なんとなくその空気感が重くなったり、固くなったり、湿っぽくなったりすることが多いです。
簡単に言うと「身構えがある」ということですね。
しかし「背中であそぶ」に取り組んだみなさんは
自分への観察も楽しそうだったし
自分の傾向を話す時も、ふんわり淡々と話しているように私には見えました。
普段と同じ言葉を使っていたとしても
表情や、声や所作の柔らかさ、空間への意識の広がり方が全く違うなと感じました。
「習慣」をいかに脱却するか?は、ATのとても大事なテーマです。
しかし実は、自分の習慣をどう扱うか?
習慣とどんな距離感でつき合うか?
そのこと自体に「私たちのパターン」があるのではないかなと私は思うようになりました。
それは私たち教師にとって、自分との向き合い方にとどまらず、生徒さんとの関わり方のパターンにもつながるのだと思います。
こういう「ちょっとした遊び」をポイ!っと投げかけてみることで、
一緒に「自分の取り組み方のパターン」をブレイクさせる、風穴を開けることが出来るのかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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