2023年12月11日 プレゼンテーション

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『身体感覚と自己感』

 

こんにちは。

スタッフの遠藤です。

TACでは「本来の自分で周りと関わる」ことをテーマに、日々学んでいます。

 

私達は、人や物と関わり、何かの活動をするときには、身体感覚を使っています。

ATの原理に「感覚はあてにならない(Faulty sensory appreciation)」というのがありますが、感覚の受け取り方、そこからどのような調整がされているかはその人の中でしか(場合によっては本人さえ)捉えられないもので、そのあたりがそれぞれの「自己感」に関係しているのではないかということについてプレゼンをしました。

 

感覚にはいろいろな種類がありますが、自身の外にある情報を得るのに使われる感覚を「外受容感覚」、これに対し、身体の中で起こる感覚を「内受容感覚」と大きく分けられます。

「外受容感覚」はいわゆる五感といわれるもので、「内受容感覚」はそれ以外の平衡感覚、運動感覚、皮膚感覚、深部感覚、臓器感覚などがあります。

「内受容感覚」はホメオスタシスにも深く関係していて、「身体感覚としての自己」に近いかもしれません。

 

入力された様々な感覚情報は、脳内ネットワークシステムで組織化され、情動反応、自律反応、ホルモン分泌など生理的変化を伴い出力されます。

最近の研究によると、これには脳の「島皮質」という領域が関わっていることがわかってきました。幅広い脳内ネットワークシステムを持ち、「身体状態の意識化」、「運動・認知のプロセスや意思決定」、「知覚・情動・感情」などにも関わり、心身の統合作用に重要な機能を果たしていると考えられています。

 

一方精神科医ダニエル・スターン(1934-2012)は「自己感」について、乳幼児の発達の観点から以下のようなことを述べています。

 

彼は乳幼児の成長を観察し、そこに現れる「自己感」を「5つの階層構造」で説明しました。

乳児には生まれながらにして原始的な「自己感」があり、成長にしたがって階層から階層に変化するものではなく、新しい「自己感」が現れても古い「自己感」はなくならず同時に存在することで層をなし、多様で豊かな自己が形成されるというものです。

 

彼によると、新生児は、内部で起きるエネルギーのほとばしりのような「生気情動(vitality affect)」を流れのあるパターン化された変化として感じ、それを養育者との間で「情動調律affect attunement(情動を共有すること)」が行われ、体験が促進されると新たな「自己感」が引き出されるというサイクルで、乳幼児の「自己感」は他者との関わりの中で創出されていきます。

 

このことからも私達は生まれながらにして関係性の中にあるともいえるでしょう。

またATのワークもこのあたりがベースになって行われているかと思います。

 

自己感はプライマリーコントロール感とも言えるかと思いますが、自他の関係性の中で見えてくるものかもしれません。それについては次回のプレゼンでお伝えできればと思います。

 

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