2024年1月24日 プレゼンテーション

お久しぶりです。

TACは、今年も元気に活動しています。

ATの教師の方々や、定期的に来てくれているビジターさんなど、いろいろな方々がTACに来てくれて、私達も良い刺激になっています。😊

 

 

さて、今年のプレゼンテーション、トップバッターは、1年生のKさん。

プレゼンのまとめを書いて頂きました。

 

テーマは、

「Let it happen!造形遊びを楽しもう」

でした。

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2学期にTACで行った、「音楽を聴きながら、クレヨンで図形を描いていく」という谷中先生のワークショップでの出来事です。

 

お互いに描いた図形を見合っていた時、「私の描いた線って、バランスが取れていないし、色もセンスがないし。それに比べて、みんなの描いたのは、色もステキだし・・・」というH先生のつぶやきが聞こえてきて、私は自分が教員だった時の光景が浮かび、胸が痛くなりました。

 

それは教室前のろうかに掲示された、クラスの子どもたちの絵でした。

一年生の初めての絵の具の授業、みんな目を輝かせながら画用紙に色をのせていきます。どろっとした感触を楽しみながら、筆先から紙の上にポテポテと絵の具を落として楽しむ子。筆洗いの透明な水に絵の具のついた筆をつけ、広がっていく色をいつまでも眺める子。子ども達はそれぞれ、色の世界に浸って生き生きと活動していました。

 

 

活動後の画用紙は正直、飾るにしては「ぐちゃぐちゃ!」でした。

でも、それを廊下に掲示しなくてはいけません。廊下を通りすがる、何も知らない人が見たら・・・「べったべたで、ぐちゃくちゃ」。「飾る」には適さない気がするけど、でも飾らなきゃ・・・。一方、隣のクラスは、パステル調だし絵の具の濃さも均一で、統一感があるなぁ。「まあ○○ちゃんの絵、きれいねえ」みたいな声も聞こえてくるし。あんなに楽しかったのにな、子ども達にきれいに描かせられなかった私、間違ってたのかな、みんなごめんね・・・。

 

 

その時の胸の痛み・・・これはもう一度確かめてみなくては!という思いで、今回「Let it happen!造形遊びを楽しもう」と題し、「評価すること、されること」から解放されて、心から安心して活動できたらどんな感じになるか、皆さんに協力してもらい試してみることにしました。

 

「造形遊び」というのは、図工のカテゴリーの中でも、「作品にしなくていい」「結果は気にしない」「とにかく素材に働きかけて全身でそれを感じ味わう」という特徴があります。そこに注目し、

 

  • “インプットの方”「誰がどう描いている」ではなく、「絵の具に働きかけることで自分は、どう感じているんだろう」(センサリーアプリシエイション)をみること
  • “アウトプットの方”「作品」「結果」(エンドゲイニング)は目指さなくていいこと
  • 自分の事も他人の事も、ついつい「評価」しちゃうだろうけど、ああ、またやっちゃったなぁ、と気づいてそのままにしておくこと(ミーンズウェアバイ)

 

ということを皆さんで確認して活動を始めることにしました。

 

 

 

当日は、自分の世界だけではなく、お互いに影響される感じもいいかもと思い、大きな一枚の紙に皆さんで描き合いました。

 

さて様子はというと、最初から大胆に塗り始め、どんどん変化させていったり・・すぐには紙に描かず、パレットの上でいろいろ試したり・・・絵の具の色を少しずつ変化させては、まるで時間の経過が紙に記録されるようにドットで並べていったり・・・「今日はこの色の気分!」と感じると、前に塗った色の上を「気分の色」で塗り重ねてみたり・・・「いやー、やっぱりキレイに描きたくなっちゃうなぁ」とか、「う~ん、○○さんのいいなぁ」とか、つぶやきも聞こえたり・・・そんな、皆さんの活動をちょっと離れて眺めている人もいたり・・・。時々、お互いの描いたものについて「わぁっ」と盛り上がったり、静か~な時間が流れたり。私自身は、自分の中で起こっている事、周りの空間で起こっている事、何か一点に集中していて全然捉えなかったり、あぁ、と気づいて捉えたり・・・。何だかゆったりした空間の中、お互いが心地いい距離感で活動していた気がします。



活動後、皆さんに話を聞くと・・・目に見える活動(紙にいろいろ描く)をしていなかったとしても、周りの人に左右されずに自分の内側の感覚に寄り添っていられた時間と空間がとても大事なものだったようだ。・・・小さなドットをアウトプットするまでのプロセスには、自分の中で感覚を研ぎ澄まして身体の中でいろいろなものがフル回転していたらしい。・・・インプット(感覚を使って受け取る)を大切に、アウトプットには重点を置かず、とは言ったものの、「私はアウトプットばっちりしてたな、でもそれは、エンドゲイニング的なアウトプットではなく、自分の中から出てくる(リーゾニングのある)アウトプットだったと思う」。・・・なるほど、結局、その瞬間、どんなことをしていたとしても、本当の自分が発動している状態、リーゾニングのある状態、一刻一刻変化していってもミーンズウェアバイしている状態にあることが大事なのだなと感じました。

 

そして、あの時子ども達の絵を飾って、胸を痛めていたけれど、そもそも「プロセス」と「結果」をごっちゃにして混乱していただけだった、ということも分かりました。教員時代に、けなげに「本当の自分」は発動していたのに、その時は「痛み」としてしかとらえられなかった自分。今、改めてATの世界に出会えて良かった~と思いました。もうすぐ、TACで学び始めて1年、これからさらに「本当の自分」と出会っていくのだろうから、また「痛み」は出てくるのだろうけど、それは「エンドゲイニング側」から見た都合なのであって、「本当の自分」にとっては「痛み」じゃないんだなぁ、と2学期の由佐さんのプレゼンと重ね合わせながら、しみじみ実感しました。

 

今回も、私の試みに全力で乗っかって下さったTACの皆さん、本当にありがとうございました!

 

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🎨

 

と言う事で、今回のKさんの試み、皆さんもいろんなことを考えるきっかけになったと思います。

こういう時って、一人ひとりの個性が出て面白いなあと私自身も思いました。

個性が出せる環境って、大事ですね。

Kさん、ありがとうございました。

 

ブログ担当 棚橋