ヨシ校長の韓国訪問記(5)

お隣の国、 韓国ではアレクサンダーテクニークに対する熱視線が向けられてい ます。
3月下旬にATのワークの為、4日間訪韓する機会があり、 日本におけるATの在り方に一石を投じてくれる体験だったので、 このことについて連載しています。

 

【AT教師とのワーク】
私の訪韓の最終日の4日目。 前日にトレーニング生達と共にワークをしてから、 この学校を卒業生を含むAT教師達とのワークを午前中にするまで の間、特に前日の眠りに就く前に、 日本で準備していたものをやめて、 今の私が彼らとワークするには、 どんなアプローチをしたらよいかを再考しました。


彼らの培ってきたATワークと私の経験の中でのATワークをつな ぐ接点を考えた時、
動きや思考の中での「目に見えない力」(The unknown) をテーマにすると共有できるものの幅が広がると思うに至りました 。


そういうことで、即席でクラスのプランを作成して、臨みました。
目に見えない力。と言えどもより身近に捉えやすいもの。
その時の答えは「バランス」でした。


自分のバランスを捉えると、 扱っている物のバランス感覚が入ってくる。
頭と胴体のバランスが捉えられると、上肢のバランス、 指のバランス、物との接点のバランスなど、 全てが同時に意識に浮き上がってくる。


この感覚を中心に、プロシージャを進めていきました。
ATの全ての活動が、バランスの取れた自分から繋がっていく。
この原点に触れる時のAT教師達の再学習的な瞬間を一緒に体験し ました。
時間は、あっという間に過ぎてしまい、「 もっと時間をかけたかった!」
と思うものの、限られた時間内で、 コンパクトにワークが成立した手応えもありました。


この日の午後にも個人レッスンが3人入り、ワークしきって、 空港行きのバスに乗りました。


【訪韓の印象】
韓国のAT学校の中で人々に触れてATワークをしてみて、 日本との共通点、 東洋的な捉え方がやはり根底にあることは実感しました。


一つは、学習環境をみんなで作る文化。ここに、 現代的な自己表現や本音を正直に言える態度が加わり、 韓国では上手にATを取り入れている印象を受けました。


もう一つは、信頼関係。私も含め、 外国からアプローチの異なる人達を呼んでも、 右往左往しないで吸収する基礎的な態度を見ることができました。
これがどこから出てきたのかまでは未だにはっきりしないのですが 、
お金を搾取するビジネスに乗せることでもなければ、
引きこもって独自の道を極める強固な態度でもない何か。


その辺の事情は、Sooyeonとも色々お話をしましたが、 もっと知りたいと思いました。
この辺に、 私達が日本でAT活動を浸透させていく鍵があるとも思いました。
Sooyeonさん自身、大学教授で、 AT学校を切り盛りするバリバリのキャリアウオーマン的な印象を はじめは受けていました。
しかし、メールのやりとりで、事前の打ち合わせでも、 結構おっちょこちょいで、 最後の最後まで返信がこなかったりして、 やきもきするくらいいい加減な所もあります(笑)。
ただ、一度企画したら、すごい勢いで物事が進んでいく。
そういう緩急のある行動を周囲も寛容に受け入れてこの学習環境が あるのかとも思いました。


韓国では、 この学校の他にもSTAT系のAT学校が最近始動したようで、 韓国の中でも様々な動きがあるのでしょう。
韓国でのATの広まり方と照らし合わせて、 日本のATを省みることは、隣国台湾も合わせて、 とても意義深いと思います。


ATは、西洋で始まった外来種的な所がある為に、 どうしても西洋人に教わる感覚が強く残る印象があります。
しかし、 AT経験を重ねてきた極東のAT教師も多くなってきた今において 、 もう少し文化に根差した捉え方で世界のAT界に寄与することも大 事になってきています。


教える教えられるの上下関係ではない学習。
人間としての信頼関係で、 お互いの落ち度を認めながら本筋に取り組んでいく姿勢。
地道にコツコツと自分の納得度を高める努力。


こうした要素が取り沙汰されないで粛々と行われる風土は、 極東独特の感覚があります。
お隣の国と一緒に成長していくことに活路が見出せる。
そんな思いで帰国の地に着きました。

 

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