お隣の国、 韓国ではアレクサンダーテクニークに対する熱視線が向けられてい ます。
3月下旬にATのワークの為、4日間訪韓する機会があり、 日本におけるATの在り方に一石を投じてくれる体験だったので、 このことについて連載しています。
【ソウルのAT教師養成学校 AT PnM】
ソウルの中心街、新堂洞に位置するスタジオで、 目の前は木々に囲まれた公園のある恵まれた学習環境です。
ボール、座布団、クッション、マットレスなど、 いろんな道具も揃っており、
男女別トイレ、キッチン、ウォーターサーバー、 コーヒーメーカーなども備えられており、 清潔感のある落ち着いた感じの建物の一つのフロア全部を部屋にし た大きなスタジオです。
PnMは「Poise and Movement」の略で、バランスと動き。
動きを通じて、 バランスの取れた在り方を軸にした学習体験を看板にしています。
創設12年目を迎えており、 この学校を卒業した人達も教えていたり、 お互いのサポートをしている様子が伺えました。
外国からも定期的に教師を招待しており、 ATの基礎知識の習得をおさえながら、活動しているようです。
生徒さん達も和気あいあいで、クラス後もお話したり、 一緒にご飯を食べにいったりしていて、 仲良しグループ的な印象も受けます。
とにかくオープンな雰囲気が印象的でした。
【学生さん達のクラス】
滞在3日目で、午前中に1年生のクラス、午後に2〜 3年生のクラスを受けもたせていただきました。
実際に、 通常のクラスでどんな風に取り組んでいるのかは見た事がなかった し、 一緒にワークすることが初めての時はとりあえず基礎を共有するこ とを私の定石としている為、 ATの基本原理を中心に一緒に取り組みました。
*1年生のクラスのメインテーマは、「緊張なく感じる!」 でした。
「本来の自分」(Primary Controlを中心に在る)に戻る体験は、 感覚がありのままに受け取られる状態にシフトすることがバロメー ターとなります。
心と身体の統合には、
1. 筋骨格系のシステムが全体性とアウトプットを
2. 神経系のシステムが上下(重力抗重力)を軸にしたバランスを
3. 消化管のシステムが感覚入力(インプット)を
(簡略化すると)象徴します。
動きやバランスは、 この学校では様々な形で行われているようなので、特に「 感覚入力」(インプット)に焦点を当ててワークしました。
意識をすることで緊張が起きる!
意識による緊張がバイアスを作り、心と身体の統合( 頭と胴体のつながり)を妨げる。
信頼できない感覚認識(faulty sensory perception)が起こる。
この事実に気づきながら、外からの情報も、 身体からの情報もありのままに受け入れる。
こういう体験の積み重ねが、手を相手に置いても反応せず、
ありのままの相手の全体性、バランス、 身体内部の様々な情報を受け入れることにつながること。
このプロセスを自分で作り、 自分で学習を深めるという観点を共有するために時間を費やしまし た。
最終的なクラスの反応は、ポカン!
まさに緊張なく感じる状態を体現していました!(笑)
そんな感じで受けとめる所は、 生徒さんとてもオープンに学習されている印象でした。
*2〜3年生のクラスのメインテーマは、「 ハンズオンとAT原理」でした。
ハンズオンがATの基礎と強く結びついていくプロセスは、 まさにAT教師トレーニングでは必須です。
自分自身(Primary Control中心の在り方)を取り戻し、 ありのままの自分と外の世界を受け入れる状態の延長線上に、 手が相手に触れても、無駄な緊張の反応が入らず( inhibition)、受け入れる状態を保たれることで、 相手と自分との交流が生まれます。
この体験を積み重ねる為の素地を自分自身で形成していく為にワー クをするという基礎は、AT教師になっても忘れがちです。
ハンズオンザバック〜( 椅子の背もたれに手を添えるプロシージャ)も、 相手にハンズオンすることも基本的に同じ取り組みです。
この流れで、他のプロシージャも一緒にワークしていきました。
傍目で見たら、AT教師のハンズオンは、 スキルと思われがちですが、自分の在り方、使われ方(The Use of the Self)という尺度で結果として起こる現象( プロセスの一部として捉えるmeans whereby)として体験していくことに焦点を当てました。
【私自身の学習】
こういう描写を見ると、 経験あるAT教師がトレーニング生に教えている様に見える所もあ るかもしれません。
しかし、私の中では、自分が今の経験値がない状態で、 彼らトレーニング生と向き合った時に、 どんな体験が必要かを一緒に模索する作業です。
生徒さんからは、「教えられている感じがないワークだった」 という感想も聞かれ、 本来的な学習に目が向いているように映りました。
特に、 私の構築してきたトレーニングの在り方と異なる方法でATを学習 する人達と共に学習し、成長していくことは、 自分の本来的な在り方を再検証することとなります。
今回の訪韓で、私はワクワクしながら、 かなりの熱量を持って準備していきました。
それは、ATを学ぶ人達の為というより、 自分自身の成長の機会と捉えるからです。
このようにブログにして描写することも、私の中では、 本来的な自分の取り組みを言語化し、まとめることで、 読者との共通項が見えるプロセスも大事な作業です。


次回(最終回)は、今回の訪韓の最終日。 韓国のAT教師達とのワークについてお話します。