ヨシ校長の韓国訪問記(1)

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お隣の国、 韓国ではアレクサンダーテクニークに対する熱視線が向けられてい ます。
その背景には、大きな経済成長期を過ぎて、 富裕層やインテリ層が増え、 生活の質の向上や健康面に対する関心が高まっていることに一因が あるようです。
3月下旬にATのワークの為、訪韓する機会があり、 日本におけるATの在り方に一石を投じてくれる体験だったので、 このことについて書いていきます。

 

【訪韓のいきさつ】
去年、 アイルランドのダブリンでAT国際コングレスに参加した時、 韓国から多くの参加者が目立ったのが印象的でしたが、 その時に出会った韓国の人達との交流によって、今回、 3月下旬に韓国スポーツ医学学会に招待され、 ソウルのAT教師養成学校で学生さんと教師達と3日間一緒にワー クをさせていただきました。


今回招待してくださったKim Sooyeonさんは、スポーツ医学の教授であり、 ソウルでAT学校を運営している活発な女性なんですが、 周囲の人達と協力して、外国のAT教師達も積極的に招待して、 良好な学習環境を作られている印象を受けました。


彼女は、ニューヨークを中心に海外経験も豊富な方で、 自国韓国にATを持ち帰る上で色々工夫をされた様子が伺えます。
AT導入に際しての際立つキーワードは、「somatic movement」(身体中心の動き)です。
彼女自身、朝鮮舞踊家であり、 動きに対する経験が深いこともあるとは思いますが、
「日常生活を含めた動きの質」を視点にする事で、 ATの心と身体の統合性に注目させる打ち出し方が、 上手く人の心を掴んでいるようでした。


【Somatic Movementを探る!】
実際、スポーツ医学学会での今回の私の演題は、


Embodied Somatic Movement:
Neuroscience, Clinical Understanding, and Practice 
(Neuroscience-based Understanding of somatic movement:
Mechanism and Clinical Implications)
ソマティックムーブメントの具体化
「神経科学、臨床的理解と実践」
(神経科学を基礎としたソマティックムーブメントの理解: メカニズムと臨床応用)


というちょっと仰々しいタイトルなんですが、要約すると、
「ソマティックムーブメントって何に役立つん?」
て言うことです。
これは、Sooyeonさんとの共同発表として、 私が学術的な説明、彼女が実践を担当して行うというものでした。


はじめにこの依頼が来た時、私自身がATを「 ソマティックムーブメント」として捉えたことがあまりなく、 戸惑いましたが、 塾考するうちにATとの親和性を強く感じるようになり、 発表の準備もワクワクしながら進めていきました。
「動き」から理解を促したり、
「動き」が感情を滑らかに表現したり、
「動き」が自分の見える世界を変えたり、
「動き」が生き生き感を作り出したり、
とにかく、「動き」という結果に囚われないで、「動き」 が醸し出すプロセスに身を置くことで、心と身体の「統合」 された「自分」が自ずと現れる。
アレクサンダー氏が、俳優として声が出ないことから、 自分の設定を変える作業から「統合」を促して、 声が出るという現象が起こらせた。
同じ「統合」でも、自ずと現れる「自分」は、 東洋的で日本人にとっても親和性が高い捉え方だとつくづく感心し てしまいました。


【Awarenessを伴う動き】
動くことが、意識の中心になると、分析したり、 ハウツーを駆使して、「良い動き」を作ろうとする「思惑」 が混じり込んで、緊張度の高いぎこちない動き何りがちです。
ATのプロシージャでも、元々は日常生活動作(動き)が、より「 心と身体の統合機能」 の結果とした起こる体験をする設定であるはずが、 いつのまにか形骸化して、動き方の良し悪しや、分析的( 意識的に)捉える活動に置き換えられて、 身体が硬くなっていく現象を見ることが多いです。


いずれにしても、「心と身体の統合機能」が中心になると、
「動き」「思考」「認知」「感情」「世界観」 などが自然発生的に起こり、そのプロセスが体験されるので、 別の言い方をすれば、Awareness(気付き) が起こっている状態です。
だから、「本来の自分」が使われる状態から見れば、
例えば、
Somatic movementの観点からすれば、「動き」 が本来的に扱われる様になるし、
哲学の観点からすれば、「思考」が本来的に扱われる様になるし、
心理療法の観点からすれば、「認知」や「感情」 が本来的に扱われる様になるし、
学問の観点からすれば、「世界観」が本来的に扱われる様になる。


ATの観点は、観点を変えても、それらが起こる起源の「自分」 という捉え難いものを扱っています。
だから、 もう少し具体性を持って打ち出した方が一般の方にアクセスしやす い。
そういう側面を上手く導入して、 韓国では受け入れられて来ている実情を目の当たりにしました。


ということで、私は、Somatic Movementのプレゼン準備をしながら、 どんな風に展開するのかに想像を巡らしていました。


ということで、次回は、 私達の学会でのプレゼンの内容について書きます。